BETWEEN REAL AND IMAGINARY: INTERVIEW WITH HAMADARAKA
HAMADARAKAは単なるアートデュオではなく、 それ以上の存在です。双子の姉妹である有園絵瑠と有園絵夢は、 目に見えるものと見えないものの間の国「 あり得ない生き物や時間が混合する事によって生み出される楽園」 を表現します。感動や夢を語り合いながら、 日本の古い絵画のような背景に、 幻想的で深みのある生き物を描いています。

今回のインタビューでは、 彼女たちが見た面白い夢やNEXUSVIIとのコラボレーション 、現実世界から得たインスピレーションやフィーリング、 そして作品を作る際の驚くべきコミュニケーションプロセスがどの ような順番で変化していくのかを語ってもらいました。
外国人の私たちにとって、あなたたちの作品は日本古来の浮世絵を思い出させます。間違っているかもしれませんが、興味深く感じます。浮世絵はあなたたちのアートや考え方に影響を与えましたか?特に印象に残っているアーティストはいますか?
外国人の私たちにとって、あなたたちの作品は日本古来の浮世絵を思い出させます。間違っているかもしれませんが、興味深く感じます。浮世絵はあなたたちのアートや考え方に影響を与えましたか?特に印象に残っているアーティストはいますか?

浮世絵を特別に意識した事はないけれど、昔の日本の絵自体が持つ風合いは私達の作品にどこかでコネクトしている様に感じます。

今の作品のスタイルが生まれた頃、暗闇の中に朧げに浮かび上がる生き物達を表現する為に、二人で見つけた手法は、

「存在しているけれど眼に見えないもの」を描く手段でした。その手法はまだ曖昧で、私達が描きたかった世界にはフィットしている様で、でも、霧の様な印象のままだったと思います。その手法を探求して行く中で、光や空気感の表情表現に必要だった金、銀、玉虫色などを段々と使い始めて描いて行った作品たちは、自然と日本古来の絵が持つ独特な風合いに繋がっていて、無意識のうちに影響を受けていたのかもしれません!

最も印象に残ったアーティストは、10代の時に彼女の作品集に出会い、今の作品の素材の使い方の原点となり、特殊メイクを学ぶきっかけを作ってくれたReiko Krukです。
HAMADARAKAは単なるアートデュオというだけでなく、双子の姉妹ですね。新しい作品を作るときのコミュニケーションがどのように行われているかを知りたいと思っています。時間の経過と共に変わるのでしょうか?
私達は幼い頃から、idioglossiaのような感覚で、言語とはまた違った、双子間のコンタクトとして、絵というツールを使ってきた気がします。

その延長で、私達は二人のコミュニケーションの一つとして、一つの絵画を同時に制作します。

ある時期までは、制作する時にまるっきり言葉を交わさず、二人の間に流れる空気や、共に味わった「時、音、匂い、温度」などを一つのキャンバスに、ぶち込むという制作方法でした。アイコンタクトはしていたかなw

ここ何年かは、話をしていると不思議と重なるキーワードに対し、各々が想像しているスケッチをしてから、またそのスケッチを融合させて一枚の作品を描いていく制作方法に変わりました。その過程で、脳と心臓で感じるイメージは共通して繋がっているけれど、お互いにどこかぽこっと抜けている部分が、ピタリと組み合わさって一つの生き物や世界になるのが二人でドキドキする瞬間です!
夢の中のフィーリングやイメージが作品のベースになっていると聞いた事があります。なぜあなたたちにとって夢がそんなに重要なのか教えてくれますか?イメージを強化して展開するために行なっている眠る前の習慣があるのでしょうか?
EMUの名前は、日本語で「夢を描く」という意味の漢字で、ERUは「瑠璃色を描く」という意味の漢字です。

両親からもらった私達の名前です。

そのせいか何故か、幼い頃から、「夢」「夜」「夜明け」に二人共とてつもなく惹かれ続けています。

幼い頃いつも読んでいた大好きな絵本は、ミヒャエルエンデ作/アンネゲルト・フックスフーバー絵の「夢喰い小人」や、ロンゾ・アンダーソン作/エイドリアン・アダムス絵の「魔女達のパーティー」、ユリーシュルビッツの「よあけ」でした。この質問に答えていると、彼ら達が私達に多くの影響を与えたのだ!! と思いましたw

夢の中では、自分たちの想像している世界が時に、さもリアルな世界の様に私達にインスピレーションを与えてくれます。

眠りに入る前、瞼を閉じると不思議と沢山のラインや残像が瞼の中のもう一つ広がった空間に現れます。

あっと言う間にただ眠りに落ちている時もありますがw。その現れたラインや色を追いながら眠りに落ちると、それらが夢の中で一つの物語として見れる時があるのがとても好きな習慣です。
最近の夢を聞かせてくれますか?何か記憶に残っていることは?
EMU: 最近の一番新しい夢は、卵達に小さな手足が生えていて、くるくるくるくる、チカチカチカチカと言いながら回り踊る様が、まるで昔のろうそくの灯で作り出すアニメーションの一コマの様な夢をみました。私の大好きな卵たちっ!!!w

思い出深い夢は、アルミの様にキラリと光る巨大な川の水面に、私の背丈の何十倍もある虹色の鱗の魚達が、ニヤリとこちらに微笑みながら、ついておいでと目で話しかけ、物凄い速度で泳いでいる。その脇を、宙に浮いた状態でまるで、アウトバーンに走る車の様な速さなのに闊歩している様な自分ににんまりしている夢です。

ERU: 虹色の海の中に潜ると、巨大な椰子の木の裾に金色の肌に水色の斑点模様の巨大なウミウシがいて、眠りから覚めたばかりの大きな目でゆっくりとまばたきして、とてつもなく小さな私の手のひらに、海の中でも行き来する小さな波を手渡してくれる夢を見ました。

もう一つは、自分の体より大きな浮遊するレモンに乗って(レモンに抱き抱えるように掴まって)、カラフルなネオンがボワーンボワーンと点滅する誰も居ない真夜中の道路を飛行する夢を見ました。レモンは低空飛行から、波線の様な動きで浮遊して大きなビルが建つ角で、速度を急激に落としてゆっくり曲がり、その先には、ガラスの様に透明でうっすら紫掛かったタイガーが、猛スピードで回転しながら房から離れる巨大なマスカットの粒を食べていて、それをこっそり眺めていたら、マスカットの粒が急にこちらに飛んできて私の頭に衝突する夢でした
あなたたちの作品に決して現れない感情はありますか?
うーーーーん、なんだろう。と考えてしまうけど、根本的に当てはまらない感情は、「憎しみ」という感情かもしれません。
あなたたちの作品の主人公は、現実の動物をもとにした幻想的な生き物です。なぜ現実の動物を選んで、自分の感情に合わせてそれを改良していく方法で作品を作るのが好きなのですか?
私たちは、現実と想像の世界の間に存在する隙間に自分たちの思い描く楽園があると感じています。

どちらも共通して視覚的に私達に見えている世界だけど、それらを描く時に感じている感覚の物語やライン、そこから派生する現実への感情や実在の生き物を融合して、その楽園に生息しているだろう生き物達を具現化するパズルの様な過程が、私達の最も興奮する時間であり、こう言えるにはまだまだ遠いかもしれないけれど、自分達が見て、聴いて毛穴が開く様な感覚を与えてくれた全てのものに対してのリスペクトでもあります。
あなたたちがNEXUSVIIのジャケットに描いた3頭フラミンゴにより我々はHAMADARAKAの存在を知る事ができました。NEXUSVIIとのコラボレーションについて教えてください。コラボレーションまでの経緯は?
NEXUSVII.の今野さんを河村康輔君に紹介してもらい、その後、コミッションワークとして『3頭フラミンゴ』

を依頼されたのがきっかけでコラボレーションの企画が始まりました。

NEXUSVIIとのコラボレーションは、丁寧でどこも妥協しない素晴らしいお仕事を続ける今野さんならではのHAMADARAKAの世界感との融合に、その都度、驚きと感動でいっぱいになります! 本当に素敵な機会を頂いてとても嬉しいです。

今後もまたコラボレーションプロジェクトがあります!!
あなたたちの現在の製作に関連する儀式や特別なプロセスはありますか?
日常的な事だけど、新しいプロジェクトの制作に入る前、眠る前に真っ暗な部屋の中で最近見た夢、その時にイメージしている植物、果物や動物、言葉のキーワードについて二人で話しをします。話していくと、嘘みたいに似たような夢を見ていた事にもテンションが高まって、そこから二人でそのイメージに対して連想ゲームの様に交互に音を選曲しながら、作品の欠片になるようなものすごく抽象的なスケッチを殴り描きします。どんなキーワードでも、お互いに共通している選曲はなぜかいつもmuslimgauzeです。数日後にそのスケッチを改めて見て、何も持たずにただ歩く事をします。自分達を、動の状態に置くと、スケッチに留まった欠片と話していたイメージからぽこっぽこっと大きな輪郭が見えてくることが多いかな。
夢や感情の他に、実生活の中であなたたちのアートに影響を与えているものはありますか?
コンスタンスに海の外で、自分たちの体の移動も含め「 流れるもの」のような、一つの場所に固定しない動きの中で出会う
新しく知る言語や全く違う景色、植物、生き物達、人々から得る「 目が醒めるような」感覚が、 私達が幼い頃から持っている感覚やHAMADARAKAの制作過 程を客観的に見る感覚の広がりに繋って、 とても面白いエフェクトを与えてくれました。
今までは、 それが現実から得る異質のインスピレーションとしてとても多かっ たと思います。

その環境がコロナの影響もあり変わった今、私達が描くものは、 根本に現実と想像の世界の間に存在する楽園という事を再認識し、 少しずつ作品の様に作り上げる自分達のスタジオスペースを新しく 作りながら、そこの窓から見え聞こえする、 突然降り出す雷雨の轟や、稲妻、大きくまん丸に膨らんだ月、 ゆらりと全身を包む風の匂い、突風で揺れ動く樹々たちの様子が、 私達の描く生き物達へのインスピレーションにつながっていると思 います。
今までと一つ視点を変えると、 目の前にある公園の何気ない雑草やそこに咲く小指にも満たない大 きさの花達も、真夜中や早朝、 植物達の生息する高さと同じ目線から観察する事で、 すぐ近くにあったのに今まで知らなかった新しい幻想的な世界が現 実的に見えてきました。最近は定期的に海に行って、 拾い集めた自分達の好きな形状の貝殻や色んな欠片を広げてパズル の様に生き物を作る遊びをしています。その中で発見する感覚は、 目に見えるものと、 見えない世界の融合をより一層膨らませてくれる感じがしています 。
EDENDORDORADOの個展から約3年が経ちました。今年は何をする予定ですか。
9月、日本の離島、佐渡ヶ島での芸術祭に参加予定
12月、東京にて個展開催予定
タイのエッチングスタジオ、日本のプリントスタジオが主催する、 コラボレーショングループ展にタイ、日本両国で参加予定
モザイク画に挑戦中
BETWEEN REAL AND IMAGINARY: INTERVIEW WITH HAMADARAKA

Tumbr: https://hamadaraka.tumblr.com
Special Thanks: Tetsunori Tawaraya

Grade Moscow
11 Jul, 2021